PCBとは?有害性や設置場所、処理方法をチェック!
概要
最近になり、テレビコマーシャルでも早期処分をするように注意喚起されるようになったPCBという物質についてご説明いたします。
PCBとはPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、人工的に作られた、 主に油状の化学物質です。
不燃性や絶縁性に優れることから、かつてはトランスやコンデンサの絶縁油をはじめ、様々な用途で使用されていました。
1968年に「カネミ油症事件」が発生し、有害であることが判明したため、1972年以降は製造や新たな使用は禁止されました。
目次[非表示]
- 1.概要
- 2.PCBの処分はなぜ必要?
- 2.1.PCBには毒性があるため
- 2.2.高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の違い
- 3.PCBを全廃するには?
- 3.1.PCBはどこに使われているのか?
- 3.2.どうやって調べればいい?
- 3.3.機器調査と処分
PCBの処分はなぜ必要?
PCBには毒性があるため
PCBは脂肪に溶けやすいため、一度体内へ入ると体外へ排出されづらい物質です。
PCBを摂取し、体内に蓄積されてしまった場合、色素沈着や肝機能障害等が起こる可能性があります。
概要でも触れたカネミ油症事件は、販売していた米ぬか油にPCB等が混入しており、皮膚疾患や色素沈着、内臓疾患等を引き起こした事件です。
このPCBの毒性により、油を摂取した母親から肌の黒い赤ちゃんが産まれ、社会に衝撃を与えました。
PCBが与える影響は人体だけではなく、環境にも大きな負荷がかかります。
PCBを焼却すると毒性の強いダイオキシンが発生するため、適切な処理をする必要があります。
また、PCBの性質上分解されにくいため、土壌や海に長期間残留されてしまい、時間をかけて人体や動物に影響を及ぼす可能性が高いのです。
高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の違い
まず大きな違いとしては、PCB濃度です。
PCBはその濃度によって、低濃度PCBと高濃度PCBに分けられます。
分析の結果、濃度が0.5mg/㎏以下のものはPCBに該当しません。
0.5mg/㎏~5,000mg/㎏のものは低濃度PCBに分類され、それ以上のものは高濃度PCBに分類されます。
ただし可燃性PCB汚染物は0.5mg/kg以上~100,000mg/kg以下のものが低濃度PCB廃棄物に該当します。
処理方法にも違いがあり、高圧変圧器・コンデンサー等の高濃度PCB廃棄物は国が監督の上運営する中間貯蔵・環境安全事業株式会社でのみ処理が可能でしたが、全てのエリアにおいて処分期限が終了しています。
低濃度PCB廃棄物は環境大臣が認定する無害化処理認定施設及び都道府県知事等が許可する施設で処理を行っており、処理期限は2027年3月31日までとなっています。
PCBを全廃するには?
PCBはどこに使われているのか?
低濃度PCBが使われている機器は、自家用電気工作物と非自家用電気工作物の2種類に分けられます。
- 自家用電気工作物
自家用電気工作物は高圧受電設備を保有している施設にあり、キュービクルと呼ばれる金属箱の中に変圧器、遮断器、コンデンサ等ととも設置されています。
- 非自家用電気工作物
非自家用電気工作物は低圧受電する設備の分電盤内に使用されていたり、溶接機等の機器に内蔵しているコンデンサになります。
非自家用電気工作物の場合、小さく、あらゆる場所に使用されているため使用箇所を割り出すのがとても難しくなります。
環境省から発表された事例によると下記のような場所から低濃度PCB含有機器が発見されています。
- X線装置(レントゲン装置)内の部品を確認したところ内蔵されているコンデンサに低濃度PCBが含まれていた
- 使用していない建物内の壁面に設置された分電盤内に低濃度PCB含有コンデンサが残置されていた
- 昇降機(エレベーター、エスカレーター)に低濃度PCBを含む部品が使用されていた
- 理化学機器や制御装置に小型のコンデンサが組み込まれていた
どうやって調べればいい?
自家用電気工作物の場合は、設備台帳を確認し使用されている電気機器の年代を確認しましょう。
低濃度PCB対象機器の製造年度は、変圧器等の絶縁油の入れ替えが可能な機器については1993年以前に製造されたものが対象になります。
この機器に関しては絶縁油の入れ替えが可能なことにより処分する際には必ず分析結果が必要となります。
少しでも怪しい機器については処分期限内に分析を行うようにしてください。
コンデンサのような封じ切り機器に関しては、1990年以前製造の物が対象になります。
では非自家用電気工作物はどのように調べればいいのでしょうか?
こちらは非常に専門性の高い調査になってくるため、業者に依頼し調べることをおすすめします。
例えば弊社ではPCB含有の低圧コンデンサの有無を調べる、機器調査という業務も行っております。
機器調査と処分
機器調査とは、理化学機器や制御装置などに組み込まれているコンデンサやトランスなど
PCB含有の恐れがある機器を調査する業務です。
<調査手順>
- 見えないところ設置された機器を、インスペクションミラーやファイバースコープを使用し、型式等を反射させて確認し、全て写真を撮影し調査を行います。
- 撮影した写真を基に棚卸表を作成します。
- PCB含有有無を記載し、その判定理由として各メーカーの証明書や問合せに対する返答内容を付録として添付し、報告書を作成します。
- この調査の際に、PCB含有機器が発見された場合は弊社にて収集運搬を行い、無害化処理施設にて焼却処分を行います。
低濃度PCBの処分期限は2027年3月31日までとなっています。
こうした調査をする場合、基本的に停電時に行うため調査スケジュールを計画することが大切です。
また予算取りにも時間が必要となるため、意外にも残された時間が少ないのです。
どんな場所に設置されているか分からない、全ての機器を洗い出す時間や自信がないなどのお声を多く聞きます。
まずは近畿環境保全まで、お気軽にご相談ください。
PCB含有機器の全廃に向けて、調査から収集運搬・処分までトータルサポートいたします。